マツカドデンサン

役割が広がり複雑化するIT環境も、原点に戻れば「電子計算」であると考えることで複雑さを回避することができるかもしれません。

コンピューター、電子計算機は、メーカーや販売店から購入したもので、そう考えるとメーカーや販売店が責任を持つべき機械だと思います。
また、専門的な部分に関しては専門家とともに向き合うべきです。
しかし、コンピューター、電子計算機を使い、指示をした結果については使用者、指示者の責任です。
特に業務特有の事柄についての最大の専門家は使用者であり、使用者以上に詳しい専門家は存在しないに等しいです。

コンピューター、電子計算機を使うことによって得られるものは使用者、指示者に還元されます。
そういった考えでは、コンピューター、電子計算機を使用する上で、できる限り多くの責任を使用者が持っている方が効率的です。
理解が深いほど成果も多く還元されますが、理解を拒めば成果も限定的になります。

適切な指示

コンピューター、電子計算機には正しく伝わるように指示をしてください。
性能を上回るような、無理な要求、過剰な要求をしないよう工夫してください。

プロセスと結果

コンピューター、電子計算機が間違った過程をふむことや間違った結果を出すことなく、期待通りの処理をしたかを必ず確認してください。

健康状態

コンピューター、電子計算機のヘルスケアを大切にしてください。
不調な時の交代要員の確保をしておく必要もあるかもしれません。

コンピューター、電子計算機に「定年」を設けていますか?
一般的なPCであれば、減価償却での耐用年数である「4年」を目安に考えておくと良いかと思います。

耐用年数を過ぎ、簿上での価値が「ゼロ」となっていても、十分に現役でそれまでの業務を継続していくことも可能であることは多いと思います。
しかし、事業の中心であったり、重要な役割を担わせ続けることは、いささか負担が大きいかと思います。

大切に、長く付き合っていきたいとお考えであれば、できるだけ余力のある状態で後任への引継ぎを済ませ、重要度や責任の軽い役割で活躍させてください。

1台のコンピューター、電子計算機は、本体とその中にあるものをまとめて1つの塊のように見えるかもしれません。

しかしその1台は、異なったメーカーの部品で構成され、さらにその部品同士が機能するための多くのソフトウェアが組み込まれ、その上で業務に必要なソフトウェア、アプリケーションが複数あり、そのアプリケーションを通してみる画面はネットワークのはるか向こう側の別のコンピューターを参照して成立しています。

この1台に、どれだけの企業とその従業員が関わっているのでしょう。
そしてその関わっている方は、世界トップクラスの専門的な技術や特許を持っている人たちです。
しかし、そのすべての人が、今のその環境の1台の端末の構成になることを完全に想定して携わったわけではありません。
こう考えると、「ただの1台の端末」のその構成に対して、完全な責任を負える人は存在するのでしょうか。

答えとしては、最終的な構成に対しての責任を完全に負える人が存在することは現実的ではありません。
携わった多くの企業とその従業員、専門家、技術者、そして構成を発注した発注者と使用者が、それぞれの持ち分と責任分界に対して責任を持ちます。
当然に競合することも、責任分界点の境界に責任者が不在になることもあります。

ですので、問題が発生した場合、近くの誰か、接点の多い相手、言いやすい相手にだけに責任を追及したところで問題は解決しません。
1台のコンピューター、電子計算機で発生する問題を解決することは、とてつもなく多くの人たちと共同で解決すべきプロジェクトのようなものだと理解ください。

同時に最も密接に端末と関わっているのは使用者であり、端末で起こっていることについて一番多くの頻度で体験しています。
その体験をできるだけ詳しく、その1台に携わっている方に説明することができるようにしておくことが求められます。

 

例えば、Eメールの送信ができずに困った場合、それは誰の責任でしょうか?

「Eメールの送信ができない」ただこれだけの情報だと、解決のために考えなければいけないことは膨大になります。

インターネットは正常につながっていますか?Eメールを送信するアプリケーションは正常ですか?Eメール送信サーバーは正常に稼働していますか?Eメール送信サーバーの認証は適切になされていますか?Eメール送信サーバーに規制に触れていませんか?Eメール送信サーバーのセキュリティは?PCのセキュリティソフトに阻まれていませんか?LAN内のセキュリティの機構に阻まれていませんか?
それとも、送信はできているが相手が受信できていないのですか?相手の迷惑メールフォルダに受信していませんか?相手のEメール受信サーバーから規制されていませんか?相手側のセキュリティ機構に阻まれていませんか?

もっと多くの確認が必要な場合もありますが、これだけでどれだけの事業者が関わっているでしょう?すでに少なくとも2桁の事業者が関わっています。
このままどこかに問い合わせれば、責任分解の範囲内だけの応対をされるのみでたらいまわしにされることでしょう。
責任分解とは冷酷のようにも感じるかもしれませんが、職域をおかしてしまうこともまた新たな問題となりえることから、これは当然の対応です。

しかし、「特定の相手先にだけEメールが送信できない」「Eメール送信時に********というエラーコードが表示される」といった情報があるだけで、考えなければいけないことを減らすことができます。
さらに問い合わせる相手、つまり責任の所在を絞ることができます。